当団体の「漢字習得」のための「多感覚デジタル副教材開発事業」が 令和5年度「かながわボランタリ活動補助金事業」として採択されました

SeedsAPPでは、自分らしく楽しく学べる

「学び方教室BB」(個別学習教室)を開室して6年が経ちました。

いわゆる学習塾でありますが、普通の学習塾と違うのは、

子どもと相談しながら

その子どもが最も勉強しやすい「学習方法」を

一緒に創っていくという点です。

 

6年間で延べ309名の‟自分らしく学びたいこども“と共に

学んで参りました。その経験の中から、子どもたちから

気づかせてもらったことが沢山あります。

勉強が好きでないという子どもたちの中には、

それなりの言い分がきちんとある人が少なくありません。

その子どもたちの言い分にしっかりと耳を傾けてみると、

知的に高いとか低いとかの問題ではなく、

「学び方」が自分に合っていないことがとても多い

ということです。

 

学びづらさをもった子どもの中に

「学習障害」と診断されるケースがあります。

私たちはその「学習障害」という言葉に

とても大きな違和感を持っています。

 

学びづらさの原因が子ども側にあるのではなく、

「学び方」が子どもに合っていない、すなわち

「学習法」がその子どもの「学習の障害」

になっているというのが正解だと私たちは考えています。

そのよう思いから、当団体(NPO法人SeedsAPP)では、

2023年4月に「学び方Labo」を設立いたし、

さまざまな「学び方(勉強法)」や「教材」の研究・開発を

スタートさせています。まず第一弾として、

学習の基礎である「読み書き」

テーマを絞り、学習法の研究及び

「多感覚デジタル副教材」の開発をスタートさせました。

そして、先日2023年2月15日に

「かながわボランタリ活動補助金事業」

のプレゼンテーションが行われ、

当団体の「漢字習得」のための

「多感覚デジタル副教材開発事業」が

令和5年度の補助金対象事業

として採択されました。

 

今回の事業を採択していただいた理由は、この教材開発が

単に漢字がしっかり書けるようになるといった目的に留まらず、

「読み書き」が思うようにいかず、

すっかり自信を失くしている子どもたちの自信や

自己肯定感を高めることを目的にしている

という点を評価していただきました。

漢字書字が苦手で、何度繰り返し練習しても身につかず、

諦めていた子どもが、

「できた!」「覚えられた!」「なんか楽しい!」

そんな小さな成功体験を積み重ねることで、

「自信」の種を子どもの心の中に植え付けられればと考えています。

 

「根を養えば、木は自ら育つ」

そのような子どもの変容を見ることが私たちSeedsAPPの願いです。

 

次年度からスタートする教材開発の進捗を

随時発信して参ります。その学習法及び教材につきまして

現場の子どもたちのリアルな体験を含めご紹介していく予定です。

どうぞご期待ください。

ビジョントレーニング~読み方を助ける学び方~

文字や文章を読むことに苦手

を持っている子どもの割合は、

40人学級の中に3人程度と言われています。

これまでにも、文字や文章を読むことに苦手を感じている

子に対しての支援を書いてきましたが、

今回は「ビジョントレーニング」を紹介します。

一口に「文字や文章を読んで理解する」と言っても、

目に見えない所で実は多くの作業が行われています。

文字や文章を読むことには、以下のような一連の流れがあり、

学習を進める上でどれも欠かせない大切な要素です。

①文字・文章を見る

②文章の認識

③言語の識別

④音に変換

⑤記憶と照合

⑥意味理解

文字や文章を読むことに苦手を持っている子どもたちは、

これらのどこかで苦手を抱えていると考えられています。

例えば、文字の形や認知の偏りがあって、

・「ね」と「わ」などの似た文字をすぐに読めない

・必要としている文字が見つけられない

などの苦手が見られることがあります。

形や位置を捉えることが苦手だったりする子どもたちは

「文章または文字を認識する」ことが苦手

であると考えられます。

この時点でつまずいてしまうと、その先の

記憶や意味理解に結びついていかない

ことになります。この原因の一つとして考えられるのが、

視覚機能の弱さや偏りです。

視覚機能には、以下の3つの機能があります。

①目の運動機能…左右上下など眼球を動かして物を見るという機能

②目と体の協調…目で見た情報に合わせて正確に体を動かす機能

③視空間認知…目で見たものの色、形、距離を正確に把握する機能

これらの機能のどこかに弱点を持っていると、

文章や文字を認識することがうまくいかないことがあります。

また、ボールをキャッチできない、ダンスが苦手など、

視覚機能の弱さがスポーツ面でも苦手として現れる

こともあると言われています。

ビジョントレーニングは、

視覚機能を維持向上するために行う

目と脳のトレーニングであり、

視覚のプロセス全般を鍛えるトレーニング方法です。

ビジョントレーニングを行なうことにより、

1、動いているものが捉えやすくなる。

2、視野が広がる

3、ピントを合わせる力がアップする

などの効果が期待でき、視覚機能向上につながるといわれています。

文字や文章を読むことに苦手を持っている子どもだけでなく、

スポーツに苦手を感じている子どもたちにとっても、

有効なトレーニング方法としてメディアや書籍で話題になり、

注目を集めています。

もし、文字や文章を読むことに苦手を感じているようであれば、

一度試してみるといいかもしれませんね。

以上、ビジョントレーニングについてお話ししました。

 

イラスト:ニョラネコ

書くのが苦手⁉遅い⁉~まずは苦手の理由を見つける~

学校の授業を受ける上では

黒板に書かれた内容をノートに書き写す作業、

いわゆる「ノートをとる」ことが大切になってきます。

特に中学生になってからは、板書された内容をしっかり

ノートに取れるか取れないかによっても、

成績に影響が大きく出てくるとも言われています。

そこで今回は、学習に苦手を感じる要因の一つ

「書く」ことについてお話ししたいと思います。

自分たちの経験として、

授業の中で当たり前に行なわれている

「ノートをとる」という作業。

ただ書いてある内容をノートに書き写すだけの、

口で言えば単純にさえ感じられる作業ですが、

この「ノートをとる」という作業は、

目で見た情報を形として取り込み、

再度頭の中で文字にし、

その文字を手を使ってアウトプット

しなければなりません。

意外と複雑かつ多くの処理を同時に行なう、

この「書く」という作業が苦手な子どもたちは、

実は数多く隠れています。

このような子どもたちは、学習の大きな部分を占める

「書く」という作業が苦痛になっている場合があります。

なんとか授業についていこうと、一生懸命ノートをとろうとしても、

授業のスピードについていけず

周囲からどんどん遅れてしまい、

結果として自信を失っていき、学習そのものが嫌いになる

というケースも少なくありません。

板書された内容、つまり目から取り入れた情報を

文字にして書くという作業が苦手な理由には、

以下のようなものが考えられます。

・複数の作業を同時に進行するのが苦手

(先生の話を聞く・黒板を見る・黒板をノートに写す)

・黒板を見たり手元のノートを見たりと視線の往復が苦手

・対象の物に焦点を合わせるのに時間がかかる

(板書の字・手元のノート)

・集中力が続かない

(ほかに興味が行ってしまう、興味のないことは集中できない)

・短期記憶が苦手

(何度も黒板を見返さなければノートに写すことができない)

・文字を読むことに困難を抱えている

(ディスレクシアなど)

 

基本的に、集団を相手にしながら行う学校の授業では、

書くこと・ノートをとることが苦手な生徒にスピードを

合わせてしまうと、どうしても

授業全体のスピードがゆっくりになってしまうため、

そうした子どもたちに対して、

思うように配慮がなされない事も少なくありません。

脱ゆとり教育の波から、

これまで以上に授業内容と書く量も増えてきており、

授業のスピードは加速する一方です。

書くことに困難を感じている児童・生徒を対象に、

カメラやタブレット等を利用して、

板書内容を撮影し後でノートに写し取る

という方法を取り入れているケースもありますが、

中には「その生徒だけを特別扱はできない」

という理由から、なかなかそれを実施できている学校は少ない

ようです。書く・ノートをとることの苦手な子どもは、

この「書く」作業によって、

学習に対しネガティブな感情を抱いていたり、

その他の手段があれば授業についていけるはずなのに、

それができず困っていたりするのです。

すべての子どもたちが、それぞれの持つ可能性を最大限に引き出すためにも、

できるだけ多くの支援や配慮が柔軟になされるべきではないか

と思います。そのためには、

一人ひとりの子どもの得意や苦手を理解し、

有効な支援が適切に行われる環境が必要

なのではないでしょうか。

以上、学習に苦手を感じる要因の一つ「書く」ことについてお話ししました。

 

イラスト:ニョラネコ

Why Japanese people !? 横書きと縦書きの不思議

ふと疑問に思いました。

どうして英語は横書きだけなのに、

日本語は横書きと縦書きを使うのか、と。

世界の言葉の主流はほとんどが横書きです。

そもそも、人間の目は横方向に見やすくできているため、

表音文字(英語などの音を表した文字)の場合

縦に並べるよりも横に並べた方が判読しやすいそうです。

日本語のルーツは中国から渡ってきた漢字にあり、

漢字は表意文字のため、縦書きで表記されています。

漢字を基にした日本語は、

連続して文字を書く際にも

縦書きで書きやすいように発達してきました。

そのため、国語の教科書や書籍などの文章は

縦書きで表記されています。

しかし、現在では横書きの文章も増えてきました。

まさに今、読んでいただいているブログの文章もそうですが、

パソコンなどの画面の文章はほとんどが横書きです。

webサイト等を閲覧する場合、

縦にスクロールして文章を読むことが主流なので

ワープロなどで編集する際に対応しやすく、何かと利便性の高い

横書きで表記することが増えたと考えられます。

このように、横書きと縦書きを使い分けている日本語は、

他の言葉にない難しい部分を持っています。

加えて日本語には、漢字・平仮名・カタカナ・ローマ字など、

様々な種類の文字を扱っているという特徴もあります。

文章を読むことに苦手を持っている子どもたちは、

文章の中の単語を把握することが苦手だったり、

読み始めや読み終わりのスイッチの切り替えに苦労

したりしています。

細かい字や長い文章を読んでいると、

次の行がどこなのか、

縦に読めばよいのか、横に読めばよいのか、

どこの箇所を読んでいるのか

などの点で混乱してしやすくなり、苦手を感じます。

そのようなときに手助けになるのは、

文字を大きくしたり、行間を開けて文章を見やすくする方法です。

文字が重なって見える

文字が歪んだり動いて見えたりする

といった識字に困難を抱えている場合、

行間や字間を広げることで文面を見やすくすることができます。

また、スリットを使うという手段も有効です。

スリットを当てて文章を読んでいる様子

読む部分にスリットを当てることで、

今どこを読んでいるのか、

次にどこの箇所を読むのか

が判別しやすくなるほか、

目に入ってくる情報を制限できるので、

読んでいる文章に集中し、内容が頭に入りやすくなります。

世界の中でも難しいと言われる言語である日本語だからこそ、

文章を読む際に苦手を感じやすくなる原因が多いのかもしれません。

日本語の特性を理解することで、文章が読みやすくなるきっかけに

なるかもしれませんね。

 

イラスト:ニョラネコ