オーディオブック~本を聞いて理解する~

皆さんは普段、本や新聞などを

どれくらい読んでいますか?

ちょうど夏休みのこの季節だと、

読書感想文に悩むお子さんも多いかもしれません。

そこで今回は、新しい読みの形として、

聞いて理解する方法「オーディオブック」

についてお話ししたいと思います。

皆さんは「オーディオブック」をご存知でしょうか。

最近テレビのCMなどでも流れているので、

耳にしたことがあるかもしれません。オーディオブックとは、

言葉の通り「聞く本」のことで、

絵本から実用書まで、既に発行されている

本の本文を音声収録し、それらの

その音源が商品として販売されている物のことを指します。

本を持ち運ぶ手間がないことや、

通勤途中や何か作業をしながらでも

本の内容を「聞く」ことができるため、

新たな読書の形として定着しつつあります。

オーディオブックの発行数は年々増加傾向にあり、

大手通販サイトでも販売されているほか、

オーディオブック専門の販売サイトも登場してきています。

活字離れが懸念される現代社会ではありますが、

限りある時間を有効活用できる手段としては、

非常に魅力的であると言えます。また、オーディオブックは、

新たな読書の形としてだけではなく、

「読む」ことに対して抵抗を感じている人にとって、

有効なツールの一つとなり得るのではないでしょうか。

近年では、学校の教科書の本文を音声収録し、

そのツールの活用を普及しようと取り組んでいる団体が活動しており、

読むことに困難を感じている児童・生徒に対しての

合理的配慮の一つとしても注目されています。

文字や文章を読むことに苦手を感じている人の中には、

耳で聞くことにより内容を理解しやすくなった、

というケースが少なくありません。

本や文章を読む際には、

目で取り入れた文字(情報)を言葉として認識し、

音に変換し、意味を理解する、という

非常に多くのプロセスを必要としますが、

耳から情報を取り入れることにより、

このプロセスを省略できるのです。

10年ほど前に発売された、

英語と日本語を聞き流すだけで英語学習ができるCD

などは、オーディオブックに近いタイプのものかもしれません。

このように、「聞く」理解の仕方は世の中に浸透しつつあります。

読書はしたい、してみたいけど、時間がない、文字を長時間見るのはつらい、

どうしても文字がうまく読めないなど悩みがあれば、

オーディオブックを試してみるといいかもしれませんね。

以上、聞いて理解する方法、オーディオブックについてのお話でした。

 

イラスト:ニョラネコ

ビジョントレーニング~読み方を助ける学び方~

文字や文章を読むことに苦手

を持っている子どもの割合は、

40人学級の中に3人程度と言われています。

これまでにも、文字や文章を読むことに苦手を感じている

子に対しての支援を書いてきましたが、

今回は「ビジョントレーニング」を紹介します。

一口に「文字や文章を読んで理解する」と言っても、

目に見えない所で実は多くの作業が行われています。

文字や文章を読むことには、以下のような一連の流れがあり、

学習を進める上でどれも欠かせない大切な要素です。

①文字・文章を見る

②文章の認識

③言語の識別

④音に変換

⑤記憶と照合

⑥意味理解

文字や文章を読むことに苦手を持っている子どもたちは、

これらのどこかで苦手を抱えていると考えられています。

例えば、文字の形や認知の偏りがあって、

・「ね」と「わ」などの似た文字をすぐに読めない

・必要としている文字が見つけられない

などの苦手が見られることがあります。

形や位置を捉えることが苦手だったりする子どもたちは

「文章または文字を認識する」ことが苦手

であると考えられます。

この時点でつまずいてしまうと、その先の

記憶や意味理解に結びついていかない

ことになります。この原因の一つとして考えられるのが、

視覚機能の弱さや偏りです。

視覚機能には、以下の3つの機能があります。

①目の運動機能…左右上下など眼球を動かして物を見るという機能

②目と体の協調…目で見た情報に合わせて正確に体を動かす機能

③視空間認知…目で見たものの色、形、距離を正確に把握する機能

これらの機能のどこかに弱点を持っていると、

文章や文字を認識することがうまくいかないことがあります。

また、ボールをキャッチできない、ダンスが苦手など、

視覚機能の弱さがスポーツ面でも苦手として現れる

こともあると言われています。

ビジョントレーニングは、

視覚機能を維持向上するために行う

目と脳のトレーニングであり、

視覚のプロセス全般を鍛えるトレーニング方法です。

ビジョントレーニングを行なうことにより、

1、動いているものが捉えやすくなる。

2、視野が広がる

3、ピントを合わせる力がアップする

などの効果が期待でき、視覚機能向上につながるといわれています。

文字や文章を読むことに苦手を持っている子どもだけでなく、

スポーツに苦手を感じている子どもたちにとっても、

有効なトレーニング方法としてメディアや書籍で話題になり、

注目を集めています。

もし、文字や文章を読むことに苦手を感じているようであれば、

一度試してみるといいかもしれませんね。

以上、ビジョントレーニングについてお話ししました。

 

イラスト:ニョラネコ

Why Japanese people !? 横書きと縦書きの不思議

ふと疑問に思いました。

どうして英語は横書きだけなのに、

日本語は横書きと縦書きを使うのか、と。

世界の言葉の主流はほとんどが横書きです。

そもそも、人間の目は横方向に見やすくできているため、

表音文字(英語などの音を表した文字)の場合

縦に並べるよりも横に並べた方が判読しやすいそうです。

日本語のルーツは中国から渡ってきた漢字にあり、

漢字は表意文字のため、縦書きで表記されています。

漢字を基にした日本語は、

連続して文字を書く際にも

縦書きで書きやすいように発達してきました。

そのため、国語の教科書や書籍などの文章は

縦書きで表記されています。

しかし、現在では横書きの文章も増えてきました。

まさに今、読んでいただいているブログの文章もそうですが、

パソコンなどの画面の文章はほとんどが横書きです。

webサイト等を閲覧する場合、

縦にスクロールして文章を読むことが主流なので

ワープロなどで編集する際に対応しやすく、何かと利便性の高い

横書きで表記することが増えたと考えられます。

このように、横書きと縦書きを使い分けている日本語は、

他の言葉にない難しい部分を持っています。

加えて日本語には、漢字・平仮名・カタカナ・ローマ字など、

様々な種類の文字を扱っているという特徴もあります。

文章を読むことに苦手を持っている子どもたちは、

文章の中の単語を把握することが苦手だったり、

読み始めや読み終わりのスイッチの切り替えに苦労

したりしています。

細かい字や長い文章を読んでいると、

次の行がどこなのか、

縦に読めばよいのか、横に読めばよいのか、

どこの箇所を読んでいるのか

などの点で混乱してしやすくなり、苦手を感じます。

そのようなときに手助けになるのは、

文字を大きくしたり、行間を開けて文章を見やすくする方法です。

文字が重なって見える

文字が歪んだり動いて見えたりする

といった識字に困難を抱えている場合、

行間や字間を広げることで文面を見やすくすることができます。

また、スリットを使うという手段も有効です。

スリットを当てて文章を読んでいる様子

読む部分にスリットを当てることで、

今どこを読んでいるのか、

次にどこの箇所を読むのか

が判別しやすくなるほか、

目に入ってくる情報を制限できるので、

読んでいる文章に集中し、内容が頭に入りやすくなります。

世界の中でも難しいと言われる言語である日本語だからこそ、

文章を読む際に苦手を感じやすくなる原因が多いのかもしれません。

日本語の特性を理解することで、文章が読みやすくなるきっかけに

なるかもしれませんね。

 

イラスト:ニョラネコ