発達障害(学習障害)の中のひとつ、
算数障害というものがあるのを
聞いたことはありますか?
知的な遅れはないのに、
なぜか算数や数学だけに苦手意識をもち、
学習が思うように進まなかったりするのです。
今回は、算数障害についてお話ししたいと思います。
算数障害の例としては、
九九だけ覚えられない
数の大小が理解しづらい
計算の記号が理解しづらい
文章題や図形になるとまったくダメなど…
算数障害と言っても、その特性は様々あり、
大きく分けて2つのタイプがあると言われています。
1つは、
「計算はできるけれども、数学的推論や数の概念が理解しづらい」
もう一つは、
「数の概念や数学的推論は得意だけれども、計算が苦手である」
といった具合です。
算数障害が特に意識されやすくなる年齢は
9歳~10歳頃が多いと言われます。
俗に言う「9歳の壁」頃に目立ってくるのです。
この「9歳の壁」とは、まさに
小学校3年生や4年生の学年で、学習内容としては、
小数や分数といった抽象概念が学習の中心
になってくるころです。それまでは、
周りの子どもと比べても決して算数が苦手という事もなく、
むしろ得意な印象すらあった子どもが、
途端に算数の学習が遅れがちになってしまうのです。
学年が上がるにつれ計算も複雑さを増し、
それまでは、ある意味機械的な操作で何とかなっていたことが、
数学的な思考・推論などがとても理解しづらく
とても苦痛なものとなってしまうのです。
では、どのように対応していけばよいのでしょうか。
算数障害の特性に応じたいくつかの対応をご紹介します。
・数の概念について理解しづらい
→ことあるごとに数の体験をさせるようにする
例:電車が好きな子どもには、何号車?
魚が好きな子どもには「鯉が何匹?」
…日常生活の中で自然に“数”と仲良くなるのもひとつの方法です。
・数の大小が上手につかめない。
→頭の中だけでなく、具体物を使って学習する
…数直線などを用いて、大きい数は長く、小さい数は短いなど
視覚的なイメージとともに理解させるようにします。
もちろん広さと狭さと数の大きさを繋げることも良いでしょう。
・かけ算が苦手
→ゲーム感覚で数に触れ、抵抗感を和らげる
写真:かけ算カルタ
…単純な暗唱に抵抗感を示していることも多いので、
「かけ算カルタ」で遊びながらかけ算に触れてみたり、
ゲームが好きな子どもには、ゲームのキャラクターやアイテムを問題に使って
かけ算をしたりすることなども有効です。
苦手意識を、好きなこと・興味の持てる事で包んでしまうと学びは進みやすくなります。
算数障害に限らず、子どもの学習における
ネガティブな意識をどのように取り除くかが
とても重要です。
次回は、算数障害の学習方法についてお話を深めてみます。
イラスト:ニョラネコ